魂の距離
私のひいばあちゃん スナさんは
いわゆる “道ならぬ恋” でじいちゃんを身ごもった
今の時代でも 厳しいであろう状況
ましてや、明治の田舎町
理解者なんてひとりもいない
スナさんは じいちゃんを産むことを決めた
機織りの技術を持っていたスナさんは
これを生活の術に生きていくと
スナさんがすごいのは
じいちゃんの “父親” の支援をしっかり受けて、育てあげたこと
それで じいちゃんは、当時、金持ちの子息しか通えなかった師範学校へと進学
首席で卒業し中学校の先生になった
自分の息子として認めた “父親” の度量
びっくりなのは、私の母は小さい頃、自分のばあちゃんであるスナさんに連れられて 彼に会った事があるらしい
そこは町長室で
見たことのない中年の女性がスナさんを「おかあさん」と呼んでいて「今考えたら、お父さんの異母兄妹だったんだろうねぇ」と感慨深げに話していた
格好良い男の人だったんだなぁとつくづく思う
記録には残らない 私のひいじいちゃんだ
記録には残らない 2人の凛とした絆が
今の私につながっている
ありがとう ひいばあちゃん
ひいばあちゃんのあの時の覚悟があったから
私は産まれて来られたよ
そして さらに
この命は私の2人の息子へと継がれてゆくよ
スナさんは その後も再婚はせず
子だくさんの時代ながら
生涯で産んだのは じいちゃん1人だけだったそうだ